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株価分析の一手法としての回帰分析

株価分析の一手法としての回帰分析
アンケートデータ等の尺度や項目の信頼性を調べ、信頼性を高めるための分析方法です。
よく分析に用いられるものに、値が大きければ信頼性が高いとするアルファ係数があります。「信頼性がある」というのは、尺度内の項目同士に一貫性があることです。アンケートの回答者が、同じ尺度内の項目に対して同じような回答( Yes や No )をして
いればアルファ係数は大きくなり、 回答のバラツキが大きければアルファ係数は小さくなります。もし、尺度内の項目と方向性の異なる項目があれば、その項目を削除することで、アルファ係数を大きくすることができ、信頼性を高めることができます。
信頼性分析の活用例
アンケート項目の検討

株価分析の一手法としての回帰分析:価格補正の手法を中心に|企業価値評価・算定のプルータス・コンサルティング公式サイト

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レポート/メールマガジン

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1. はじめに

株式の価格が争われる事案において、回帰分析の手法を採用する事例が増えています。
株価変動の分析における回帰分析の利用は、米国を中心に1930年代から研究されてきた分野ですが、我が国の実務に導入されるようになったのは、後述するインテリジェンス事件などが契機になってのことであり、数年程度の蓄積があるに過ぎません。そのため、株価分析の一手法としての回帰分析に関する理解が、企業担当者、法曹関係者などの間に十分浸透しているとは言い難く、裁判上の争点をいたずらに複雑化している傾向さえみられるのが現状です。
本稿では、我が国の裁判で回帰分析が採用された代表的な事案を紹介するとともに、当該事案で用いられた手法のうち、事後的な株価補正を実施する手法について概説し、株価分析の一手法としての回帰分析に関する理解の一助としていただくことを目的とします。
なお、本稿の理解には、統計学及び回帰分析に関する基礎的な知識を必要とします。それらを解説した良書は多数あり、正確な理解のためにはそれらをご参照いただくのが最善ですが、本稿でも最低限の前提知識を補論としてまとめましたので、適宜ご参照いただければ幸いです。

2. 回帰分析が採用された主な裁判例

2. 1 インテリジェンス株式買取価格決定申立事件

株式会社USEN(以下、USEN)が、上場子会社であった株式会社インテリジェンス(以下、インテリジェンス)を株式交換により完全子会社化した事案です。
平成20年7月1日に株式交換の基本合意が発表され、その後株式交換比率が発表されたことにより、インテリジェンスの株価は一定の株式交換比率を前提とした価格に収斂し、以後USENの株価におおむね連動することとなりました。しかしながら、USENの業績が低迷していたこともあり、基本合意の公表当日に79,000円であったインテリジェンスの終値は、同年9月の上場廃止直前には43,250円まで下落しました。そのため、株式交換により株式価値が毀損されたとして、インテリジェンスの反対株主が、いわゆる「ナカリセバ価格」での買取を請求したものです。
本事案では、株式交換公表後、インテリジェンスの株価がUSENの株価に連動し、本来の株価変動を示さなくなったことから、「ナカリセバ価格」としてどの時点の株価を用いるかが問題となりました。
この点、東京地方裁判所では、株式交換の基本合意が公表される直前の平均株価を基礎として買取価格が決定されました。これに対し、会社側が主張する回帰分析による株価の補正を斟酌したのが東京高等裁判所の決定です。すなわち、会社側は過去一定期間におけるインテリジェンスの株価と株価指数の変動性の関係を回帰分析により定量化し、当該関係が株式交換公表後も維持されたとみなした場合の株価を推定することにより、株式交換の効力発生日までのあり得べき株価を予測し、それが「ナカリセバ」価格であると主張しましたが、当該主張は一定の合理性を有するものと評価されました。その結果、株式交換の効力発生日前一定期間における予測株価の平均値が買取価格とされ、東京地方裁判所の決定よりも引き下げられるに至ったのです。

2. 2 テクモ株式買取価格決定申立事件

コーエー株式会社とテクモ株式会社が共同株式移転を行い、コーエーテクモホールディングス株式会社を設立した事案です。
本事案には、直前に株式会社スクウェア・エニックスから提案されていた公開買付けの提案をテクモ株式会社が拒絶し、同時にコーエー株式会社との経営統合を公表したという背景があります。すなわち、株式会社スクウェア・エニックスから提案された公開買付価格が920円だったのに対し、コーエー株式会社との経営統合との公表後、株式移転による上場廃止に至るまで、テクモ株式会社の株価は当該価格を超えませんでした。そのため、コーエー株式会社との経営統合がテクモ株式会社の株式価値を毀損させたとして、反対株主が株式会社スクウェア・エニックスからの提案と同額の1株920円での買取を請求し、会社側との協議が調わず買取価格決定請求に至ったものです。
本事案では、株主による買取価格決定の申立てがなされた日の市場株価の終値が最終的な買取価格とされ、その決定にあたり回帰分析の結果は直接参照されませんでした。しかし、経営統合の公表という事象がテクモ株式会社の株式価値を毀損させたかどうか、毀損させたとすれば、当該事象が起こらなかった場合の「ナカリセバ価格」はどのように決まるかという争点につき、会社側、株主側の双方から回帰分析に基づく主張がなされ、それぞれの採用した手法に明確な相違が見られたという点において、実務家の間で注目された事案の一つです。

時系列データへの回帰分析

7,8行目:シミュレーション回数(Nsim)は200回。一回のシミュレーションにおけるサンプルサイズ(Nsample)は400としておきました。
10行目:p値を格納する入れ物を作ります。
12行目:乱数を固定します。乱数は本来、実行するたびに値が変わるのですが、set.seedとすることで、一定の乱数を発生させることができます。
13~23行目:forループを使って、Nsim回(200回)だけ回帰分析を繰り返します。
15,16行目:ただの正規乱数として、x,yの二つのデータを作ります。もちろん両者には何の関係もなく、有意な回帰係数が得られる可能性は低いだろうと予想されます。
19行目:回帰分析を実行して 株価分析の一手法としての回帰分析
22行目:p値を保存します。

p値のヒストグラムを描きます。
ggplot2というパッケージを使っていることに注意してください。
必要ならば『install.packages(“ggplot2”)』というコマンドを実行して、インストールします。

このヒストグラムは、横軸がp値、縦軸が回数となっています。
赤色の、ランダムウォーク系列への回帰分析の結果では、p値が小さな値になっていることがほとんど、すなわち、有意な回帰係数が得られてしまっていることがわかります。
本来ならば無関係な2つの系列に対して、有意な回帰係数が得られてしまう、見せかけの回帰が起こりました。

3.データチェック1 単位根検定とADF検定

ADF検定では、
帰無仮説:単位根がある
対立仮説:単位根がない
として検定します。
なので、p値<0.05であり、帰無仮説が棄却されれば、単位根はないと言えることになります。
「単位根があることの証明」とはならないことに注意してください。

Rでやってみます。
tseriesパッケージの『adf.test』という関数を使います。
またランダムウォークをシミュレーションして作って、y、xという名称で保存しておきます。それらに対してADF検定をかけます。
シミュレーションデータは先ほどのforループの中のコード一部を取り出してきて作りました。

4.解決策1 差分系列への回帰分析

緑色が、差分系列への回帰分析をした時のp値のヒストグラムです。
青色(正しい回帰)とほぼ同じ結果となっています。
p値が小さくなりすぎる(有意になりやすくなる)ことがなく、正しく検定できました。

5.差分系列への回帰分析の問題点

2つ目の問題は共和分がある時です。
共和分という考え方は次の節で説明しますが、これがある時に差分をとってしまうと、見せかけの回帰とは逆に「本来ならば関係があるのにかかわらず、関係がないと勘違いしてしまう」というミスを犯してしまします。
なので、以下で説明する共和分検定を実施して、共和分がないことを確認してから差分をとるようにします。

6.データチェック2 共和分とPO検定

共和分を持っているかどうかは、以下の手順で判断します。
1.もともとのデータが単位根を持っていることを確認する
2.単位根があるデータにおいて、回帰分析を実行する
3.回帰分析の結果得られた「残差」が単位根を持っているかどうかを検定する
→単位根がなければ、共和分とみなせる

単純に、実際に回帰分析をしてみて「単位根がなくなる」ことを確認すればよいという理屈です。
なお、この方法をEngle-Grangerの方法と呼びます。
なお、「残差に対する単位根検定」は普通のADF検定ではうまくいきません。
とりあえず「原系列への分析と、一回別の分析を行った後の残差に対する分析とでは、異なる手法を使わなければならないのだ」ということだけ覚えておけばよいかと思います。
そこでADF検定ではなくPO検定を使います。

Engle-Grangerの方法以外にもベクトル誤差修正モデルを用いた方法もあります。
変数が増えた場合は「どの組み合わせが共和分の関係にあるのか」が判別しにくくなります。
そんな時にはベクトル誤差修正モデルを用いて検定を行うのが便利です。

統計量が「14.861」であり、5パーセント点が「25.9711」です。
帰無仮説:残差が単位根を持つ
対立仮説:残差は単位根を持たない
であるため「残差が単位根を持たないとは言えない」という結果となりました。

x2とy2とでおなじ「RW」という変数を使っています。
この「RW」はランダムウォーク系列なので、それを使っているx2,y2もやはり単位根を持ちます。
しかし、x2 – (0.6/0.4)*y2 の計算をしてやると、「RW」が打ち消しあって消えますね。もちろん単位根も消えるはずです。
なので、x2,y2は共和分の関係を持ちます。

p値が0.05よりも大きいので「単位根であることを棄却できない」ことになります。
共和分しているデータをグラフに描画してみます。
ggplot2とreshape2パッケージを使っていることに注意してください。

結果はこちら。
青い線が「RW」を消したあとの「単位根がなくなった状態」を表しています。
元のx2やy2は上がったり下がったり、ふらふらと移動していきますが、青い線はほぼ一定の値を維持していることに注意してください。
これが共和分の特徴です。

5%点が26くらいなのに関わらず、統計量がおよそ237もありますね。
これで「残差が単位根を持っている」という帰無仮説を棄却することができました。
すなわち、残差には単位根がなく、共和分の関係にあると言えるということです。

回帰係数は有意とはなりませんでした。
本来ならばx2とy2の間には、何らかの関係があるはずです。それを見過ごしてしまうことになってしまいました。
差分系列への回帰分析は、きわめて簡便で効果の高い手法ではありますが、このような欠点があることも覚えておくとよいかと思います。

7.自己相関と見せかけの回帰

これもシミュレーションをして確認してみましょう。
また、ごくまれに「検定がダメでもAICなら大丈夫なのでは?」と勘違いされる方がいるので、これも確認しておきます。
結論から言うと、AICでもダメです。

『arima.sim』という関数を使うことで、自己相関のあるデータを作成することができます。
p値に加えて「説明変数がある時とないときのAIC」も併せて保存するようにしておきました。
『lm(y ~ 1)』で、説明変数がないときの回帰分析が実行されていることに注意してください。

8.データチェック3 ダービンワトソン検定

帰無仮説:残差に自己相関はない
対立仮説:自己相関あり
で、p値がとても小さい(10のマイナス16乗)となったので、自己相関ありとみなすことになります。

9.解決策2 一般化最小二乗法(GLS)

GLSだと、残差の自己相関をモデルの中に組み込むことができます。
一般化線形モデル(GLM)と勘違いしやすいので気を付けてください。
MじゃなくてSです。

GLSはnlmeパッケージの、その名も『gls』関数を使うことで計算できます。
残差の自己相関としてはARMAモデルを指定することができます。
ARMAモデルについては時系列解析理論編を参照してください。
とりあえずここでは「様々な残差のパターンを指定することができる」ということだけ覚えていただければOKです。

まずはモデルを組みました。
correlationという引数で、ARMAモデルを指定します。ここを複雑にすると、計算に時間がかかることもあるので気を付けてください。
今回はAR(1)とAR(2)の2つを対象としてみました。
比較のために、自己相関がないモデルも作ってあります。

せっかくですので、GLSも200回ほどのシミュレーションにかけてみてp値のヒストグラムを描いてみましょう。 株価分析の一手法としての回帰分析
コードを一気に載せます。
これは、計算にやや時間がかかることに注意してください。1、2分くらいです。

今回はシミュレーションデータを使ったので、毎回きれいな結果となりましたが、現実はなかなか泥臭い作業となります。
単位根があることが分かった~差分系列をとった。とした後にもやはり「単位根検定」と「残差の自己相関の検定」は行ったほうが良いかと思います。差分をとったから大丈夫、という訳にはいきません。
今回はデータの特徴がわかっていたのですんなり検定できましたが、単位根検定一つとっても「ドリフトあり」か「定数項あり」か「なにもなし」かで検定のパタンが変わってきます。
実際のデータを扱う際はそこも注意して分析してください。

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